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| No.001-困ったなあ。 | No.002-G59 | No.003-蟲 | No.004-デンジャー | No.005-白黒 |

No.001-困ったなあ。

1題目

 トゥースたち3兄弟は、とある使いの旅の途中、2つの別れ道でどちらへ進むべきか迷っていた。
「絶対にこっちだよぅ〜!」
 突然、次男のワンスがそう言い出した。
「……ぼくは、こっち…だと思う…」
 今度はその弟、三男のゼロスがこう言う。
「違うよ!絶対右〜!ゼロスはボクの勘が信じられないって言うの?」
 ゼロスの言葉を思いっきり否定するように、ワンスは両手をいっぱいに広げている。
「いや、…そもそも勘で道を選ぶっていうこと自体間違ってる…と思うんだけど…」
「でも、誰もどっちが正しい道かなんて分からないんだから、勘で選ぶ以外どうするっていうの? ゼロスのそれは、勘とはどう違うの? それともゼロスには何かいい考えでもあるの?」
「……………今はない。だけど…」
 この場所へは、2人…いや、3人とも以前にも一度来たことがあるはずなのだが、何故だかどちらが正しい道なのか、すっかりと忘れてしまっていた。


 別れ道で足止めされてから、30分ほど過ぎた頃だろうか、未だにトゥース達一行は、同じ場所にいた。
「絶対、絶対、ぜーーーったいこっち!!!!」
 相変わらずワンスは大きな声で騒いでいる。
「…いや、やっぱりこっちだ。ぼくは前にここを通った覚えがかすかだけどあるような…気がする…」
「……それって、ホントに本当?」
「……………」
 …何故か、ゼロスは黙り込んでしまった。

「…なあ、ワンス、ゼロス…二人ともいい加減言い争うのはやめて先に進まないか?」
 しばらく様子を見ていた長男のトゥース。2人を見兼ねたのか2人の間に割って入ってきた。
「じゃあ、トゥース兄ちゃんは、どっちが正しい道か知ってるの?」
 ワンスとゼロスが同時に、トゥースにそう尋ねた。
「う…。そ、それは………」
 二人の間に割って入ってみたものの、特に良い考えもなかったらしい。
「………おっ! そ、そうだ……!く、くじ引きで決めるってのはどうだ!?な?なっ??いい考えだろ??」
 これは、いかにも苦し紛れ、といった様子だ。

「………………。」
「………………。」
 しばらくの間、沈黙が続いた。

「な、何だよ。」
 ワンスもゼロスも、何も言わず、ただ冷めた目でトゥースを見つめている。

 それから更にしばらくしてから、ようやく2人は口を開いた。

「なーんだ…知らないんだ」
「知らないんだ」

 いつも、仲の悪いワンスとゼロスだが、こんなときばかりは、気が合うらしい。
 ほぼ同時にそう呟き、口調はどこまでも冷たかった。

 トゥースは、思った。
(なんで、オレがこんな扱いされなきゃならないんだ…)

 そんなことを考えている間にも、また二人の言い合いが始まっていた。

「だーかーらー、絶対こっちだってー!」
「いや、絶対、論理的に考えても…」

(誰か、こいつらを止めてくれ〜)

最初は、やはり看板息子達を描きたかったので、こういう絵になりました!道が二つに分かれていて、どっちに行こうか悩んでいるところ…。。でもトゥースは、そんなことよりも、二人の意見が分かれていることに困っている模様…。。
■登場キャラクター:ワンスゼロストゥース


No.002-G59

2題目「何だぁ?こりゃあ…?」
 緑髪に赤い鉢巻をした長身の青年が、手にした銃をくるくると色んな角度から確認するように見回している。
 彼の側には、黒髪の少年(こちらは白い鉢巻をしている)もいたが、それを黙って見て見ぬふりをしていた。
「……なあ、ガイ。…コイツ…最近、拾った銃なんだが…見た目は新品同様、…なのに中身は完全にぶっ壊れてやがるみたいだ。一体どう扱ったら、こんな壊れ方するんだか……」
 あまりに不可解な壊れ方をしていたため、機械好きな彼にとっては、少々理不尽なものがあった。一方、話しかけられたガイはというと特に興味を示すこともなく無関心だった。
「………ん? よく見ると、こんなところに『G59』なんて書いてあるが、………何だろうな…?これ……」
 銃には意味不明な英数字が書かれていたが、実は銃マニアでもある彼にも意味は分からなかった。
「……おい。ガイ、お前は、これが何の意味だか分かるか?」
 彼は少しの間考えたあと、側に居た黒髪の少年、ガイにその謎の文字の部分を見せながらそう訊いてみた。
 だが、ガイはナユタの方に振り向くことなく、透かさずこう答える。
「ナユタ、お前が分からないのなら、僕には尚更分かるわけがないだろ。僕に訊くのは見当違いってやつだよ」
「ま、まあ、そう言えばそうだが。…一応、訊いてみたかっただけだ。そんなに不機嫌になるなよ」
 ナユタは苦笑した。
 ガイは、銃の事に関しては、あまり興味がないらしい。だが、いつもナユタには嫌というほど、銃についての話を聴かされているためか、最近では、銃に関する事もほんの少しは分かるようになった。…が、同時に銃の話を振られる度に少し不機嫌そうな態度を見せる傾向がある。


 ナユタは、壊れた銃を修理しようと、一時間以上もそれに没頭していた。
 しばらくして、やっと直すことができたのか、一つため息をついたあと、その間、ずっと閉ざしていた口を開く。
「ふぅ………っと、よし!おい、ガイ!一応直してみたんだが……試しにお前、撃ってみないか?」
 何故かナユタはニヤニヤした顔をしている。
「………。ナユタ…お前、知ってて言ってるだろ?僕には銃なんて使いこなせないよ。それに…その顔…ちゃんと直ったのかも怪しいところだな。黒焦げになるのだけはごめんだ」
 あっさりと断られてしまった。
「…さすがに引っ掛らないか。あ〜あ、つまらねえなあ。…せっかくちょっと遊んでみたんだがな…」
 そう言うとナユタは、その銃の引き金を引いた。
 すると、銃口からは銃弾ではなく、なんと、可愛らしい作り物の花が飛び出してきた。
「…なんだ…?結局直せなかったのか?」
 きょとんとした表情でガイはそれを見ていた。
「ああ。残念だが。…それに『G59』の謎も、解明不能。ははっ。いい事なしだ」

今回はガイとナユタです。G59の意味がよく分からず……なんとなく、適当にロボットや銃かなんかの名前っぽいなあと思って、銃を描いてみましたが、話の内容的には謎の文字のままということになりました(笑)銃とかの知識は、ほとんど無いので、これまた適当です。(汗)
■登場キャラクター:ガイナユタ


No.003-蟲

3題目「ねえ、お姉ちゃん、あれ、なあに?」
 リシナが、木にぶら下がっていた、枯れた葉っぱのような茶色っぽい物体を指差した。
「あら。蓑虫さんだわ。こんなところで見られるなんて、珍しいわね」
 側にいた姉のリスティンは、とても嬉しそうに笑っている。
 リシナは、それを聞いたとたん、少し青ざめた顔になった。
「……ミノ…ム…シ?……これって、葉っぱじゃないの…?」
「そうよ。蓑虫さんは、蛾の幼虫さん。蛹になる前の姿ね。可愛いわねvvねえ、リシナ♪」
 気が付くとリシナはその場には既に居なかった。
「あ、あら?リシナったら、どこ行っちゃったのかしら?? …おかしな子ねぇ」








大の虫嫌いなリシナ。蟻が一匹いるのを見るだけでも、逃げ出すほどの虫嫌い…。それに対して、虫好きの姉のリスティン…。
■登場キャラクター:リシナリスティン


No.004-デンジャー

4題目「くぉおおらあぁー!!! 零斗!! 今すぐそれを、返しなさい!!!」
 紫の髪の活発そうな少女が、包丁をとハリセンを持って、少年を部屋の隅へと追い込んだ。
 零斗と呼ばれた少年の手には、化粧品らしき瓶が握られている。
「へっ!や〜だねっ!アッカンべ〜だ!! いやあ。しっかし、壱流姉ちゃんがこんなものに興味があったとはね〜。少しは女らしいところもあったわけだ」
 くっくっくっと、少年は嘲笑うかのように笑っている。
 壱流はそれを見て、一瞬、顔を赤らめ恥かしそうな表情を見せる。しかしすぐに表情は元に戻る。
「ふん…!!!!! 何さ!アタシが化粧とかして何が悪い!!」
「誰も悪いなんて言ってないだろ?ただ、姉ちゃんみたいなブスが化粧したところで、何にも変わらないと思うけどな〜」
 またも、ククッと笑ってみせる零斗。
「くっ!…こんのおおおぉ…!!! よくも言ったわね〜!! 零斗、今日は晩飯抜き決定!!」
「げっ!? マジかよ。またその手かよ……そればっかりは簡便してくれよ〜」
 いたずら好きの零斗も、この手ばかりには弱いらしい。
「…じゃあ、素直にアタシにあやまりなさい。そしてそれを返すの。もしそれでも言うこと聞かないなら……」
「……聞かない…なら…?」
 零斗は恐る恐る訊いてみた。
 壱流は、左手に持っていた包丁を逆手に持ち、右手に持っていたハリセンを構え、

「… あ ん た を 殺 し て 取 り 返 す ま で !! 」

 その言葉には、根拠の無い凄みがあった。
 身の危険を悟った零斗は、持っていた化粧の瓶を壱流に向けて差し出した。
「……わ、分かったよ。返せば良いんだろう?返せば!!」
「ごめんなさいは!?」
「………ごめん…なさい〜」
姉強し。

悪戯好きの零斗君。またも姉に怒られ中。(笑
■登場キャラクター:壱流零斗


No.005-白黒

5題目「わあ〜お兄ちゃん、見て見て!」
 ケイは、ある一枚の白黒写真を持って、隣の部屋から笑顔で走ってきた。
 僕は、何気ないケイのそのいつもの笑顔を見てホッとする。
「なんだい?ケイ」
「とても懐かしい写真を見つけたの。…これって…まだ、あたしが10歳にもなってないころかな?とすると、…お兄ちゃんはまだ11、2歳の頃かぁ。ふふふ。かわいいなあ」
 確かに、懐かしい写真だ。一体何処にしまってあったのだろう。写真の端の方が所々、破れかけている。
「これは…たしか、ちょうど6年前、ナユタと初めて出会った日に記念に撮った写真だな」
 あのときのことは、何故だかよく覚えている。というよりは、忘れられないのか。
「そっか〜。ナユタに出会ってから、もうそんなに経つんだね〜。早いなあ……」
 ケイは、本当に嬉しそうに写真をずっと眺めている。ケイはこのときのことはあまり覚えていないらしい。僕は、密かにホッとしていた。
「あれ?ねえ、よく見たらこの写真のお兄ちゃん、なんだか様子が変…だよね??ちょっと顔がひきつってるような…」
 やはり気づかれてしまったか。実を言うと、僕はこの写真には、あまり良い思い出がない。
 そうだ。思い出した。誰も使っていないタンスの引き出しの奥にこの写真を隠したのは他でもない僕自身だった。
 ケイにだけは、気付かれたくなかったのに…そのケイに見つけられてしまうとは。
 ここで、ごまかしても仕方が無い……正直に話すことにした。
「あ、…ああ、これは……ちょっと恥かしい話なんだけどな…」
「え?なになに?」
 ケイは、食い入るように僕の瞳を見つめている。そんな目で見つめられると、話す決心が鈍ってしまいそうなんだけど…。
「……こ、この頃の僕の背丈は、ケイ、君と寸分も違わなかったんだ。それじゃかっこつかないからって、ナユタが背伸びしろってうるさくてね。…精一杯背伸びして写ってる…」
 僕は、苦笑しながらも何とか素直にそう答えた。
「ええ?そうだったっけ?あたし、そこまで覚えてないや……へえぇ〜、お兄ちゃんがあたしと大して身長変わらないときがあったなんて…今じゃ信じられないね」
「…そうだな」
 そうやって、他愛ない会話でいつもの笑顔にもどる。
 隠す必要もなかったみたいだ。僕はホッとした。今日はこれでもう3度目だ。

えと。。白黒と言ったら、私には白黒写真しか思いつかなかった。(^^;
でも、ワンスたちのような狐族には、写真というものは、なさそうなんで、人族のガイとケイの少し幼い頃を描いてみました。
■登場キャラクター:ガイケイ

お題提供サイト:「happy together