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100のお題「管」より

こ〜げつ様より




空の青さを記す時、人はどのような言葉を用いるのだろう───。
うつろい、流れて行く空の色と、そのうつろい行く様を人はどの様なものに例えるだろう───。
───ボクは、それらの移り行く美しいものをこの笛の音で表したい。
例えば四つの季節。
大望を抱ける青き春
情熱を想起する朱き夏
情趣を育む白き秋
心力を鍛える玄き冬
それぞれを表現するイメージはあまねく知られている。
だが、それはどういう意味なのだろう?
ただその音色が季節のイメージに合致しているから使っているだけなのかもしれない。
最初に誰かが定め、無意識のうちにそれが正しいものだと思われているだけかもしれない。
音楽での季節感の齟齬は丁度、赤色が赤色ではないと思うのと同様に、広大な大地の様な大前提の元に根ざしたものだ、とボクは思う。
では、もしその大きな大地に地割れが生じていたらどうだろう。
赤が赤だと判断する材料がなければ人はどのように季節を感じるのだろうか?
きっと困るに違いない。
けれど、人はきっと今の様な音を奏でる。
これが人の「心」なんだと思う。
たゆたう形なき存在。
それは自然と美しいものへと惹かれてゆく。
心の示すままに美しさを表現すればいい。
だから───ボクは今日も笛を吹くんだ。