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祈る

綾瀬りく様より


私は夢を見る。

今ではない時。

まだ、あの子がいる時……



祈る



私の妹の名は、フィルシア。
1つ年下の、可愛い妹。
3年前、あの子はどこかにいなくなってしまった……。


あの子は、私やお父様の前では明るい笑顔も見せてくれていたわ。
でも、あの子は、いつも、どこか寂しそうだった。


翼があるから?


何度も何度も思った。


あの子の翼は小さくて飛べなくて、けれども私の翼は空を舞うことが出来た。


私は、飛べるのに。
天空の王と呼ばれるお父様は、飛べるのに。


この翼そのものが、あの子を、傷つけていたのかもしれない。


夢の中、私が知る最後のあの子に、私は何度も何度も謝る。
ごめんなさい、ごめんね、ごめんね……


あの子に言えなかった、あの子にもう届かない。


今、私に出来るのは、祈ることだけ。


私は祈る。


あの子の無事を。


私は祈る。


この言葉が、あの子に届くように。


私は、祈る。


あの子が、独り寂しくないように。
あの子の翼が、哀しい、絶望色の翼に染まることがないように。




そして。




どれだけ時間が掛かってもいい。




いつか、いつか、あなたに会えますように。